SSブログ

聴覚で理解できる録音図書を作るために [音訳について]

私たちの録音している図書はどのように聞こえているのでしょうか?

視覚障害者にとって録音図書とは、晴眼者が読む墨時の本と同じです。
例えば表紙の破れた本を私たちは買うでしょうか?
印刷の不鮮明な本を、文字の不ぞろいな本を買うでしょうか?

【ライトハウス 録音通信より抜粋 久保洋子】 
 言いよどみ、発音不明瞭などは印刷の不鮮明な本と同じです。本を見ていると納得してしまうことでも、原本を見ないで聴いて解るようでないと困ります。又、利用者はピッチアップして聴くことが多いので校正の時には細かくチェックして下さい。
 項目の前後、文章の切れ目、会話の切れ目、段落などの間はそれぞれ意味のあるものです。極端に長い間や不揃いな間は理解を妨げてしまいます。訂正の時には間も含めて前後をしっかり聞き直して下さい。
 初めの枠、各巻の枠、終わりの枠は、本の表紙のようなものです。枠がきちんとしていない録音図書には信頼がおけません。音声訳者はもちろん校正者も枠をきちんとチェックすることが必要です。
 録音図書凡例は、本の内容がまだ解らないうちに聴くものです。本の内容がわからなくても理解できる凡例を考えて下さい。
 写真や図表などで説明を省略するとき、毎ページのように省略のコメントが入るのは、聴いていると省略だけが気にかかって来ます。録音図書凡例を活用する等処理の方法を考えて下さい。読み始める前に全体を通しての処理をよく検討して下さい。
 文章の切り方、続け方を間違えると文意が伝わりません。校正するとき、文字と音声を照らし合わせるだけでは録音図書の校正とは言えません。文意が伝わる読みになっているかを細かくチェックして下さい。
 音声訳には、アクセントの習得が必要です。すぐに完ぺきというのは難しいかも知れませんが、意味が正しく伝わらないと思われるときは訂正して下さい。アクセントと共に無声化、鼻濁音も習得して、よりよい音声訳者を目指しましょう。
 以上、思いついたことを並べてみました。この読みで正しく伝わるのかを判断するにには、利用者の立場で録音図書を聴いてみることが近道です。グループでお互いに皆のテープを聴く機会を持つのはとてもいい勉強になります。どんな読みが聴きやすいのか、どんな説明が解りにくいのか、いろいろな例があると皆で上達することができます。
 下調べ、下読みとお忙しいとは思いますが、私たちも耳で読書をしてみましょう。原本をみたくなったらその録音図書はいい本ではないかもしれません。(中味が難しいのは別です)校正者は目の前の音声訳者にやさしくするのではなく、利用者に優しい校正を心がけて下さい。
 聴覚で理解できる本を作るためには、私たちはもっともっと勉強しなければならないようです。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。